[21]involuteΣⅲ( Hypoid gear design system)


21.1概要
  旧ソフトウェアのL-hypoid gear design systemは,新しいソフトウェアのinvoluteΣⅲ(Hypoid gear design)に変わりました.本ソフトウェアは,寸法,歯形,強度計算をトータルに設計することができます.
  ハイポイドギヤの歯形,歯すじは,歯切り盤から生成されるものですが,本ソフトウェアは,球面インボリュート歯形を持つスパイラルベベルギヤ(大歯車)またはピニオン(小歯車)にオフセットを与え相手歯車の歯形を解析し1組の歯車としています.図21.1に全体画面を示します.

21.2ソフトウェアの構成
  involuteΣⅲ(hypod gear design )の構成を表2.1に示します.表中の〇は基本ソフトウェアの機能で,◎はオプション機能です.


21.3寸法設定
  図21.2に寸法設定画面を示します.数値が不明な場合は,標準値を入力することができ,ねじれ角やオフセット量,工具半径などを自由に設定することができます.図21.2では勾配歯を選択していますが,等高歯も設計することができます.
  AGMA2005-D03 規格に基づいてハイポイドギヤの各部の寸法を計算します.図21.3およびず21.4に寸法結果を示します.


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21.4 組図
   図21.3および図21.4の寸法計算結果に基づいたハイポイドギヤ組図を図21.6に示します.


21.5 歯形計算
   歯形計算の設定画面を図21.7に示します.歯すじ曲線の種類は,円弧,インボリュート,エピトロコイド,等リードから選択することができます.一般的な歯すじは「円弧」ですが,金型でハイポイドギヤを製造する場合,円弧では干渉するため使用できませんが,「等リード歯すじ」としておけば金型から抜くことができます.また,本例では,最下段に示す「歯すじ曲線基準」を「ギヤ」としているためギヤの歯形を基準としてオフセットを与えた場合のピニオンの歯形を生成します.また,ピニオンの歯幅を内端側,外端側に歯幅を延長して歯形生成することができますので歯車加工時には逃げ量を与えておくことができます.


21.6 歯形修整
   歯形修整,歯すじ修整をする場合,図2.19~2.23に示すように修整を与えることができます.図2.21では修整する指定点数(最大=50)を入力することができ,図2.22のように円弧パターンで入力することもできます.
   歯形1本,歯すじ1本修整の例を図2.23に,歯形断面分割を5,歯すじ1としたときの修整とトポグラフの例を図2.24に示します.トポグラフでは,歯形と歯すじの分割数をそれぞれ最大50まで設定することができます.


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21.7 歯形レンダリング
   図21.7で設定した諸元に基づいて歯形を解析し図2.25~2.27のように表示します.図2.26では,無修整歯形のかみ合い接触線は内端から外端まで接触線が現れていますが,図2.27では図21.8の歯面修整を与えていますので両端部での接触は現れていません.


21.8 歯当たり解析(オプション)
歯当たり解析諸元の設定を図21.28に示します.ここでは,取り付け誤差は無いものとし,接触最大クリアランス(光明丹厚さ)を3μmとして歯当たり解析した結果を図21.29に示します.



21.9 伝達誤差
   図21.8の歯形修整を持つ歯形で無負荷における回転伝達誤差解析を行った例を以下に示します.ここでは,図21.30のように取り付け誤差およびピッチ誤差が無いものとしています.
   伝達誤差,ワウ・フラッタ,フーリエ解析の計算結果を図21.31~21.33に示します.図21.32のワウ・フラッタではこのグラフ波形を音で確認することができます(グラフ右上のSound ).


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21.10 バックラッシ
   図21.8の歯形修整を持つ歯車のバックラッシの変化を図21.34に示します.これより,この歯車対のキックアウトは1.0μmであることが解ります.


21.11 強度計算
   ハイポイドギヤの強度計算は,ANSI/AGMA2003-B97規格に基づいています.図21.35に動力諸元設定を示し,強度結果を図21.36~21.42に示します.



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21.12 歯面評価
   強度計算終了後,図21.43の歯面評価グラフ設定画面で歯形修整の有無,駆動歯車の種類,計算ポイント数を入力するとすべり率グラフ(図21.44)とヘルツ応力グラフ(図21.45)を表示します.


21.13 FEM歯形応力解析
   図21.46のFEM解析の設定画面で縦弾性係数,ポアソン比,分割数および荷重位置そして荷重を入力することにより5種類の応力(σx ,σy ,せん断応力τ,主応力σ1 ,σ2,σmおよび変位)を計算します.歯車強度計算と共に歯に作用する実応力を評価する事ができますので歯車強度の信頼性を高めることができます.図21.47および図21.48にピニオンとギヤの最大主応力σ1の例を示します.


21.1 歯形データ出力
   歯形・歯すじ修整を与えた歯形(無修整歯形を含む)をCADデータで出力することができます.図21.49で歯形ファイル条件を設定し,図21.50で歯形の分割数を変更することができます.
   歯形は,図21.51のように3D-IGESファイルを出力することができ,かみ合い歯形の3D-IGES(図21.52)や,組図の2D-DXFファイル(図21.53)を出力することができます.


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21.15 歯形測定データ出力(オプション)
   Carl Zeiss三次元測定機と大阪精密機械測定機の2種類の測定データ出力機能があります.以下に,三次元測定機(Carl Zeiss)用測定データ出力例を示します.図21.54の測定データの設定画面で歯形測定分割数と歯面の測定逃げ量および測定基準距離を設定することにより測定点座標と法線ベクトルをファイルを図21.55のように出力します.



21.16 その他機能
(1) 軸受け荷重および歯車精度表(説明は省略します).
(2) 設計データの保存,読み込み
(3) 印刷(寸法,強度計算,組図)
(4) HELP機能操作方法を知りたい場合は[HELP]機能を使うことができます.
例えば,歯当たりを表示しているとき,この画面をアクティブにして[F1]キーを押すことで図21.56を表示します.また,画面上部の[ヘルプ](図21.57)で操作説明を表示します.また,ソフトウェアに変更があった場合にはクラウドに置いたソフトウェアを「最新版ダウンロード」からダウンロードすることができます.


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